エコモットを含む開発チームが提案した技術開発テーマが、海底探査技術開発プロジェクト(DeSET Project)の公募事業に採択されました!


“エコモット 技術ブログ アドベントカレンダー 3日目です。”
12/1に正式発表になったDeSETプロジェクトについて簡単に報告したいと思います。
DeSET・ニュース
リバネス・プレスリリース

DeSETとは

海底探査技術開発プロジェクト(DeSET Project)とは、公益財団法人日本財団および株式会社リバネスの共同で、2017年4月から2019年3月まで実施される研究開発事業です。
この事業は、水平方向の分解能が100m以下の海底地形図を地球上の全海域に渡って作成することを最終目標とし、その実現を飛躍的に加速しうる技術を日本国内から生み出すことを目的としています。

この目標を達成するために、最先端の技術開発のみならず、シンプルで低コストな構造のアイデア、海中で使用しうる新しい材料、信頼性の高い加工技術等、多様な分野・領域・業種からの知恵と技術を流入・融合させるべく、申請の門戸を広く開放し、選考の過程において要素技術を組み合わせ、技術開発を担うチームを形成、採択する類を見ないアプローチで選考が行われました。
この度、採択チーム3つが発表になり、めでたく私たちのチームも採択されることになりました。

参照:DeSETLOGODeSET公式サイト

細かな計測は海洋全体の15%以下という現実

海底地形は、浅海域における沿岸開発や海運、津波予測等の防災分野及び水産業の他、深海域における鉱物資源探査や地球温暖化に関わる気象予測等、様々な分野で利用されています。
このように海洋・社会インフラの基礎データとなる海底地形ですが、最新マルチビーム計測で得られる高精度データ(空間解像度1m以下)から、全大洋を対象とする粗いデータ(例えばGEBCOは空間解像度約900m)まで、様々な精度のデータが混在しています。
しかし、細かな計測データは海洋全体の15%しかカバーされておらず、海底探査や海洋シミュレーション等の研究で要望される精度や適用範囲を、十分に満たしていないのが現状です。
深海調査用AUVや水中超音波及び人工衛星を活用するリモートセンシング技術の発展により、部分的に高解像度海底地形データを得ることが可能となっていますが、一般に高解像度の衛星画像の入手やAUV深海調査には膨大な費用が掛かることから、コストを抑え効率的に海底地形図を作成する手法の開発がが望まれています。
DeSETプロジェクトに採択されたチームは、このような現状を解決する役割を担っていると言えます。

エコモットが参画するチームとテーマ

研究開発のイメージ図

海洋・水産研究開発事業を得意とする(株)環境シミュレーション研究所、コンピュータビジョン・画像処理分野の研究機関である京都大学学術メディアセンター、IoTインテグレーション事業のエコモット(株)、深浅測量の(株)アーク・ジオ・サポート、水中カメラ等を製造する(株)キュー・アイ、深海用ドローン研究機関である東京農工大学の6機関がチームを組んで、「機械学習による超解像技術を用いた海底地形データ詳細化及び深海測深支援システムの開発」 というテーマを提案し、採択されました。

いわゆる人工知能AIを活用し、少ない情報を補完する

いわゆる人工知能AI(Artificial Intelligence)の成果が世界中を驚かせています。何でもかんでもできてしまって、仕事を奪われるのではないかと思う人さえいるようです。
一般に、いわゆる人工知能AIとは、SFに登場するイメージの人工知能を実現させるために必要な 要素技術の集合体 と考えられており、各要素技術がニューラルネットワークなどの機械学習により飛躍的な進歩したことで、実用化し始めムーブメントを引き起こしていると認識されています。
この要素技術群の中に、”超解像”と呼ばれる低解像度画像を高解像度画像に変換する技術があります。
これは、昔の映像を今のモニターでもきれいに見えるように加工したり、デジタルズームした画像を見やすくすることなどに利用されています。
現在までに超解像の様々な手法が考案されていますが、ニューラルネットワークを使った超解像が、state-of-the-artな成果をあげています。
 ニューラルネットワークを使った超解像は、高解像度画像とそれを粗く(縮小化)した画像を教師データとして使い、この両者の違いに含まれている画像の特徴を抽出することで、学習を進め、この特徴を低解像度画像に適用することで、高解像度画像を得ることができます。
海底地形図も”画素値=水深”ととらえることで、一種の画像として扱えるのではないかと考え、この海底地形画像に超解像技術を適用することで、観測されていない部分の水深を推測しようという提案です。

地形画像における単純拡大と超解像の違い

IoT~クラウドで培った技術+AIで地球の神秘に挑戦

 弊社は、センサーなどのIoTデバイスから得られるビックデータを集約し、データ活用を容易にするクラウドアプリケーション「FASTIO」などで培ったシステム開発の技術を活用し、超解像などのAI技術を加えることで、低解像度海底地形図を高解像度海底地形図に変換するシステムの開発を担当します。
 AI技術で海底地形の特徴を抽出できれば、地球の神秘に少し近づけることになると考えられます。
弊社の技術が地球の神秘を広く世界に発信するお役に立てることを願いつつ、この事業に取り組んで参りたいと思っています。

この活動については、折を見て報告していきたいと思いますので、techBlogの方もご期待ください。