オフィスのクーラーに感謝しながら
システム開発を続けているクラウドソリューション開発部の北島です!
「副業」と聞くと、多くの方は会社外での副業を思い浮かべるのではないでしょうか。しかし、当社には「社内複業」という独自の制度があります。これは、本来の業務を続けながら、社内の他部署、他グループのプロジェクトにも参加できる革新的な取り組みです。
今回、私はこの制度を利用してスマホアプリの実装、テスト作成・実施という、普段とは全く異なる業務を経験する機会を得ました。本記事では、社内複業制度について、3ヶ月間の複業生活を通じて感じたこと、学んだことについて、実体験を交えながらご紹介いたします。
「社内複業」制度とは何か
そもそも「社内複業って何?」と思う読者が多いと思います。
ここでは、制度の目的、制度の仕組み、一般的な副業と何が異なるのか、について説明します。
本制度の目的
この制度には4つの目的が定められています。
①お財布にやさしい「収入アップ」
単純に言えば、お給料が増えます。普通の残業代に加えて追加報酬がもらえるので、家計が楽になったり、趣味にお金を使えたり、将来への貯蓄ができたりと、経済的なゆとりが生まれます。
②自分を成長させる「スキルアップ」
いつもと違う仕事を経験することで、新しい知識や技術が身につきます。例えば、普段サーバー側の開発をしている人がアプリの開発やテストを覚えれば、「フルスタックエンジニア」への道が開けるかもしれません。
③会社全体が良くなる「業務改善」
他部署で学んだ効率的なやり方や新しいアイデアを、自分の元の部署に持ち帰ることができます。「あっちの部署では、こんな便利なツールを使ってるよ」といった情報共有で、会社全体の仕事の質が上がります。
④部署の壁を取り払う「チームワーク向上」
普段話す機会のない他部署の人たちと一緒に働くことで、「あの部署って、こんな大変な仕事をしてたんだ」という発見があります。お互いの理解が深まれば、会社全体の連携もスムーズになります。
つまり、「個人にとって良し、会社にとって良し」の一石二鳥な制度というわけです。
制度の基本的な仕組み
当社の社内複業制度は、所定労働時間内の通常業務とは別に、残業時間内でリソース不足の他部署や他グループで働ける制度です。最大の特徴は、社内複業を行った場合に残業代に追加報酬分を上乗せして支給される点で、月45時間の残業枠をフル活用すれば大幅な月収アップが見込めます。
これはうれしいですね!!
一般的な副業との決定的な違い
普通の副業と何が違うのでしょうか?
会社外で副業をする場合、まず新しい会社のルールを覚え、新しいシステムの使い方を学び、知らない人たちとゼロから関係を築かなければなりません。さらに、本業の会社には話せない情報もあるため、コミュニケーションに気を遣う場面も多くなります。
一方、社内複業なら話は全く違います。普段使っているSlackやBacklogなどのツールがそのまま使えます。「あの件、どうなりましたか?」と気軽に声をかけられる同僚、上司がいます。会社の方針や文化も共通しているので、「なんでこんなやり方をするんだろう?」と戸惑うことも少ないのです。
つまり、「新しい環境に慣れる」という副業の最初の大きなハードルが、社内複業にはほとんどありません。その分、純粋に「新しい業務を学ぶ」ことに集中できるのが最大のメリットだと感じました。
実際に複業を体験してみて
参加のきっかけ
私は普段、Webサイトのフロントエンド・バックエンド開発をメインで行っています。しかし、現代では一人一台は所有しているといっていいほどスマートフォンが普及しており、それに伴ってアプリ開発のスキルも重要になってきています。
「Webサイトだけでなく、アプリ開発もできるようになりたい」「自身の市場価値を上げたい」―そんな思いを抱いていた時に、社内複業制度で募集されているモバイルアプリ関連の案件を発見しました。これはチャンスだと思い、参加を決意しました。
担当した業務内容
私が参加したのは、当社で開発されている「Pdrive」の管理者向け・ドライバー向けスマホアプリの新規機能のエラー制御処理に関する業務でした。
開発環境と技術スタック
・使用フレームワーク:React Native
・開発機器:MacBook
・テスト端末:iPhone,Android
具体的な作業内容
①エラー制御処理の実装
API別にエラーダイアログの挙動を確認しながら、実装を進めました。普段の業務ではWindowsでのWeb開発が中心だったため、MacBookでアプリをビルドしてiPhone・Androidで動作確認するという流れは新鮮で、とても興味深い体験でした。
②テストケース作成
実装完了後、テストケースの作成を担当しました。画面単位で各APIを呼び出すような操作手順を詳細に記載していきます。また、APIによってはそれぞれ異なるパラメータでの動作確認が必要で、想像以上に複雑な作業でした。
特に苦労したのは、「どの画面で該当のAPIが呼び出されているか」をソースコードから辿る作業です。実際にデバッグしながら確認するのに想像より時間がかかりました。これは普段そのプロジェクトに関わっていないが故に起こる事象で、「プロジェクトへの理解の深さ」の重要性を痛感しました。
③テスト実施と不具合報告
最後にテストの実施を行い、発見した不具合を担当者に報告するという一連の流れを経験しました。
得られた成果と学び
異なるOSの理解
普段Windows環境で作業していた私にとって、MacBookの操作方法やショートカットキーを覚えられたのは大きな収穫でした。以前よりは、両方の環境で効率的に作業できるようになり、開発者としての適応力が向上したのかなと感じています。
React Nativeの理解
普段使用しているPHPやJavaScriptとは異なるモバイルアプリ向けフレームワークであるReact Nativeを実際に触れたことで、開発の幅が大きく広がりました。
最初に驚いたのは、WebのHTMLタグではなく、<View>や<Text>といったモバイル専用のコンポーネントを使う点でした。「コンポーネント指向」という概念は理解に時間がかかりましたが、一度理解すると再利用性が高く、非常に効率的で面白い仕組みでした。例えば、エラーダイアログのUIを一度コンポーネントとして作成すれば、アプリ全体で統一されたデザインで使い回せる点は、従来のWeb開発とは大きく異なる発想でした。
また、React NativeではiOSとAndroidの両方に対応したアプリを一つのコードベースで開発できることも新鮮でした。実際にビルドして両端末で動作確認する際、同じコードなのにプラットフォームごとに微妙に異なる挙動を示すケースもあり、クロスプラットフォーム開発の奥深さを実感しました。
興味深いことに、現在本業で使用しているReactにも共通する「useState」「useEffect」などのフックの概念があり、知識の相互補完ができたのも予想外の収穫でした。モバイルアプリ開発のReact Nativeで学んだ状態管理の考え方が、そのままWeb開発でも活かせることで、「技術の学習は点ではなく線で繋がっている」ということを実感できました。さらに、React Nativeで慣れ親しんだJSXの記法がそのまま使えるため、学習コストが思ったより低く抑えられたのも嬉しい発見でした。
まとめ
3ヶ月間の社内複業を通じて、私は技術的なスキル向上だけでなく、働き方や学び方についても多くの気づきを得ることができました。
制度の価値を実感
「収入アップ」という経済的メリットはもちろんのこと、それ以上に「スキルアップ」による将来への投資効果を強く実感しています。React Nativeという新しい技術スタックを習得できたことで、開発者として少しは成長できたと感じています。
また、他部署との連携を通じて社内のネットワークが広がり、普段の業務でも気軽に相談できる関係性が築けたことは、制度の「チームワーク向上」という目的が確実に達成されている証拠だと思います。
一般的な副業との違いを改めて実感
外部での副業と比較して、社内複業の最大の利点は「業務に集中できる環境」でした。新しい会社の文化やルールに適応する時間や精神的負担がなく、純粋に業務と技術習得に時間を使えたことで、短期間でも密度の濃い経験ができました。
特に、困ったときにすぐに相談できる同僚がいる安心感は、業務効率を大幅に向上させてくれました。これは外部での副業では得難いメリットだと思います。
得られた最大の学び
この経験を通じて最も印象的だったのは、「技術の学習は点ではなく線で繋がっている」という発見でした。React Nativeで学んだ概念が本業のReact開発にも活かされ、相互に知識が補完される好循環を実際に体感できたことは、予想以上の収穫でした。
今回の経験は、Web、モバイル両方に対応できるエンジニアとしてのキャリアを築くきっかけになったと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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