クルマとクラウドをつなげた先に

クルマとクラウドがつながると、我々の生活は便利で快適になる。

10月25日に開幕した東京モーターショーにおいて、デンソーさんが「コネクティッドソリューション」と題したコーナーで、クルマと様々なサービスをつなげる仕組みを展示しています。

クルマの移動時間が家族との団らんの時間となったり、クルマの中がビジネス空間にもなる未来をモックカーで体験する「DENSO URBAN MOVES」、セキュアに荷物の受け渡しを実現する「トランクデリバリー」など。

2019年1月、ラスベガスで開催された「CES2019」では、エコモットのテレマティクス端末「HDL-900」の映像ストリーミング機能を使い、多拠点同時監視を実現する「セキュリティセンター」の展示を一緒にさせていただきました。

今回の東京モーターショーでは、デンソーさんとのコラボレーションをさらに一歩進めて「カーセキュリティ」を展示したので、本記事でレポートしたいと思います。

カーセキュリティとは

クルマとセキュリティという言葉からは、いろいろな仕組みが想像されますが、今回は、クルマから離れている時のセキュリティが対象です。つまり、イタズラや車上荒らし対策です。遠くに離れていてもクルマの状態をオーナーが確認できるようにする仕組です。

個人的には、ヘッドライトの消し忘れ確認に使いたいと思っています。クルマを降りる時って、何故かいろんな考え事してて、警告音出てても気がつかないときがあるんです。

あとは、キーの締め忘れが気になったり。クルマを降りて暫くしてから、確認のためにクルマに戻ることもしょっちゅうです。忘れっぽいというか、ぼーっとしてます。そんな僕には、ぴったりなサービスです(笑)

技術面

当社のテレマティクス端末単体でもストリーム配信はできますが、車両の制御はできません。車上荒らしに襲われている映像を照会できても、指を咥えて見てるしかないのです。でも、テレマティクス端末からクルマを制御することができれば、ライトを点灯させたり、ホーンを鳴らして警告を出すことは可能です。

この連携を実現するのが、デンソーさんが開発している「Mobility IoT Core」です。簡単に言えば車載コンピュータですが、クルマとクラウドを直結するためのIoTデバイス、といったほうがコンセプト伝わりやすいかも。

大量の車両情報をクラウドに送信するのはもちろんのこと、なんと、車両上のデバイスを制御するためのインタフェースが提供されています。

エコモットのテレマティクス端末と Mobility IoT Core を連動させることで、カーセキュリティを実現しました。

展示内容

今回は、実際の車両ではなく、模型のクルマを用意しました。模型には、テレマティクス端末とインカメラが取り付けられています。

テレマティクス端末を模型の中に入れてしまうと、展示が巨大化してしまうので、上の方に出しました。インカメラは、車内に取り付けています。

模型ではわかりませんが、テレマティクス端末とMobility IoT CoreはEthernetで接続されています。写真は、テレマティクス側のコネクタ。

クルマの横をみると・・・車上荒らしの犯人がいますね!クルマに侵入して何か悪さをしようとしています。

犯人がクルマに侵入しようとしたときの、車両の揺れをテレマティクス端末が検知します。テレマティクス端末は、急ハンドル急ブレーキなどの危険運転を感知する加速度センサーが搭載されており、これを活用します。

それでは、模型の「PUSH」のところを押して、クルマ全体を揺らしてみしょう。

すると・・・テレマティクス端末が侵入を検知し、オーナーのスマートフォンへ、LINEで検知時の画像を送信します。これはテレマティクス端末のフロントカメラ、インカメラで撮影した映像です。犯人映ってますね!

オーナーが通知に気づきます。映像をみて、何が起こってるんだろう・・・? 状況を確認するため、映像を確認します。

ライブ映像をみると・・・車上荒らしだー!すぐクルマにもどれない。どうしよう。そうだ、ホーンを鳴らして威嚇しよう!

スマホ上の操作からホーンを鳴らし、びっくりした犯人は逃げ出しました。めでたしめでたし。

なお、セキュリティセンターでも、この様子は確認されていました。事件の状況も克明に記録されています。

というシナリオです。

面白いところ

テレマティクス端末とMobility IoT Coreの連携かと思います。展示では、反応速度の向上や車両制御の機構をローカル側に閉じ込めるため、クラウド側ではなくイーサネットで直接つなぐ方式にしました。

テレマティクス側から見れば、クルマとのインタフェースをTCP/IPベースのソフトウェアとして簡単に実現できるし、クルマ側から見れば、サードパーティーのデバイスを使ったライブストリームや各種センサーを容易に拡張できた、ともいえます。クラウド側に視点を移せば、両者が連携することによるビジネスの広がりは、もっともっとあるでしょう。

最後に

展示会は、11月4日まで開催されています。

MaaSで我々の生活がこんな風に変わるのか~という予兆を感じていただければと思いますので、是非とも皆さん、会場に足を運んでください。

自動車業界は100年に一度の大変革期、と言われるだけあって、未来を感じる展示が多数あります。