こんにちは!エコモット株式会社でIoT・AI・DXコンサルタントをしている本間です。
生成AIの急速な発展と普及により、AI開発者にとって著作権の理解がますます重要となっています。
本記事では、AI開発者が生成AIの開発や利用において注意すべき著作権のポイントを解説します。
参照元は令和5年6月に文化庁著作権課が公開した「AIと著作権」となります。
生成AIと著作権問題発生の段階
AIと著作権の関係には、以下の2つの段階があります。
- 「 AI開発・学習段階」AIに大量のデータ(学習用データ)を使って学習させる段階
- 「生成・利用段階」 学習済みのAIを使って画像や文章などを作り出す段階
各段階で異なる著作権に関するルールが適用されます。
また、AIが生成したコンテンツ(AI生成物)が著作物に当たるかどうかも別途考慮する必要があります。
「AI開発・学習段階」における著作権
AIの学習に著作物を使用する場合、著作権者の許可が必要なケースとそうでないケース(権利制限規定)があります。
権利制限規定:「楽しむことを目的としない場合」の利用
「著作権法第30条の4」では、著作物を「楽しむことを目的としない場合」(非享受目的)に、一定の条件下で許可なく利用できます。
例えば:
- 技術の開発や実用化のための試験
- 情報解析
- 人の目で見ない情報処理過程での利用
AI開発のための情報解析はここに該当するため、基本的に許可なく著作物を利用できます。
ただし、主な目的が非享受目的でも、一部に「楽しむことを目的とする場合」(享受目的)が含まれる場合には適用されません。
著作権者の利益を不当に害する場合
「著作権者の利益を不当に害する場合」は、権利制限規定の対象外となり、著作権者の許可が必要です。
「不当に害する」かどうかの判断はケースバイケースで決まります。
享受を目的とする利用・非享受目的と享受目的が併存する利用
「楽しむことを目的とする利用」や「非享受目的と享受目的が併存する利用」の場合、基本的には著作権者の許可が必要です。
「生成・利用段階」における著作権
AIを使ってコンテンツを生成した場合でも、著作権侵害かどうかは「類似性」と「依拠性」で判断されます。
類似性と依拠性
- 類似性 : 既存の著作物と似ているかどうか
- 依拠性 : 既存の著作物を基にしているかどうか
AI生成物を利用する際の注意点
AI生成物を利用する際には、以下の点に注意が必要です:
- 利用行為が権利制限規定に該当するかどうか確認する
- 既存の著作物と似ていないか注意する
既存著作物と似ている場合は以下の対応が必要です:
- AI生成物の利用を控える
- 既存著作物の著作権者から許可を得る
- 既存著作物とは全く異なるものになるよう大幅に手を加える
既存著作物の権利者側の対応
既存著作物の権利者は、自身の著作権を侵害するAI生成物に対して、以下の請求ができます:
- 差止請求 : 侵害行為の停止・予防措置を求める
- 損害賠償請求 : 侵害による損害の賠償を求める
- 刑事告訴 : 著作権侵害罪で告訴する
AI生成物と著作権保護
AI生成物は、以下の条件を満たす場合に著作物として保護される可能性があります:
- 人が思想や感情を表現するための「道具」としてAIを使ったと認められる場合
- AI利用者が、創作意図を持ってAIを利用している
- AI利用者が、創作的な行為を行っている
AIが自動的に生成したものは、人が創作に関与していないため、著作物とは認められません。
創作意図と創作的寄与
- 創作意図 : 表現したい思想や感情
- 創作的寄与 : AIの利用過程で人が創作に貢献している行為
人がAIを「道具」として使用したと認められるためには、「創作意図」と「創作的寄与」の両方が必要です。
まとめ
AI開発者は、生成AIの開発や利用において、著作権法に従うことが重要です。
最新の情報を常に確認し、権利侵害とならないよう注意しましょう。
詳しくは令和5年6月に文化庁著作権課が公開した「AIと著作権」をご覧ください。
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