PSB-100を利用した簡易型水位計で河川水位を測定

こんにちは、コンストラクションソリューション事業部 開発部の若宮です。

7月になり、暑くなりましたが雨も多くなってきましたね。ここのところ、豪雨による水害や警報のニュースも多く聞かれるようになりました。被災された方々には心からお見舞い申し上げます。

河川の氾濫の危険を察知する方法の一つとして、水位を測定しモニタリングするという方法があります。弊社でも、水位モニタリングのソリューションを提供しております。先日、河川に簡易型水位計を設置する機会がありましたので、本記事で紹介いたします。

簡易型水位計について

弊社製品にPSB-100というLPWAを搭載した計測ボードがあります。PSB-100は、デジタル・アナログ入出力を備えた小型・低消費電力の計測ボードです。センサを利用した測定に幅広く応用できます。簡易型水位計では、センサの制御や通信のためにこの計測ボードを採用しました。

水位計測のためのセンサは、超音波センサを利用します。超音波センサは、センサから超音波を照射し、反射波を捉えることで物体までの距離を測ることができます。今回の方法では、橋等の河川上から水面に向かって超音波センサを設置することで水面からセンサまでの距離を計測します。事前に計測しておいたセンサから川底までの距離を元にして、水位を算出します。

一般によく利用される投げ込み式水位計と比較して、設置も簡単で低コストで利用できます。さらに、精度も投げ込み式と遜色ないものとなっています。(簡易型というのは、投げ込み式水位センサではなく超音波センサを使うということを表しています。)

今回の利用目的は降雨期の河川の増水状態の監視が目的であり、機器選定の条件が「低コストで簡単に取り付けられる水位計」および「6ヶ月程度は電池での運用が可能」ということでした。通常実施するような細かい間隔でのデータ送信は消費電力が大きくなり、通信コストも大きくなります。そこで、雨の降らないときは細かいデータは不要ですので、計測間隔は10分、それを3時間に1回サーバに送信し、降雨時には予め端末に設定した警戒水位に達した時点で10分毎の送信に自動で切り替わるようにしました。そうすることで消費電力を大幅に抑えることができ、電池で約6ヶ月の動作が可能となりました。LPWAの通信と電池を利用することで、電源や通信環境を整えることなく、設置後すぐに利用可能です。設置時間も1箇所あたり30分程度です。

クラウド側は、弊社のIoTプラットフォームであるFASTIOを利用しています。WEB画面上で水位をグラフで見ることや、警戒水位に達した場合のアラートを受け取ることができます。

設置

実際に設置したセンサと端末を紹介します。

超音波センサは計測ポイントの真上に固定します。
端末を格納したボックスは操作しやすい場所に設置します。

橋の中央にセンサ、そこからコードが伸びてガードレール側面の端末につながっている

ガードパイプに取り付けたセンサと端末

水位を算出するために、センサから川底までの距離を実測します。

川底からセンサまでの距離を計測

ボックス内の端末を操作し、重みや警戒水位を設定します。

端末ボックス内を操作

1か所あたり、概ね30分以内で設置が完了しました。

設置後、モニタリング

FASTIOのWEB画面からグラフで表示できます。
ここでは、水位(青)と電池電圧(赤)を表示しています。

水位の増減や警戒水位時の即時送信でも安定して動作することが確認できています。

まとめ

  • PSB-100と超音波センサを利用して、簡易に水位をモニタリングできます。
  • 設置が簡単、低コストにもかかわらず、高精度に水位を測定できます。

もしご興味がございましたらお気軽にお問い合わせください。

開発者の所感

私は今回初めて現場に立ち会いましたが、机の上でやっているだけではわからないことが発見できました。例えば、足場の悪い場所で上向きに作業すること、電池の取り外しが大変なこと、等です。そういったことを製品の改善に生かしていこうと思いました。
また、たまには外に出て自分の開発したモノが使われているのを目で見るということは、楽しいですし開発のモチベーションにもなると感じました。