通信型ドライブレコーダー「STZ-DR10」による緊急通報サービス連携


こんにちは!デバイスソフトウェア開発部の本間です。

以前に下記の記事にて、私が FW 開発を担当させて頂いた通信型ドライブレコーダー「STZ-DR10」をご紹介させて頂きました。

新型ドライブレコーダー「STZ-DR10」のご紹介

STZ-DR10 には、弊社の従来型ドライブレコーダ(HDL-900TMX-DM03)には無い新機能である VoIP 発信機能が追加されました。今回は、この VoIP 発信機能を利用して実現される緊急通報サービス連携について、システム構成やユースケースをご紹介いたします。

VoIP とは

VoIP (Voice over Internet Protocol) とは、電話回線ではなくインターネットや LAN を利用した電話交換及び通話を実現する仕組みのことです。音声を符号化・圧縮しパケットに変換したものを IP ネットワーク経由でリアルタイムで伝送することで音声通話を実現しており、IP 電話とも呼ばれています。会社内の内線電話は、この技術を用いて社内 LAN や VPN における IP 電話網によって構築されていることが多いのではないでしょうか。

STZ-DR10 には VoIP 発信機能が実装されており、モバイル回線経由でインターネット上の指定された IP 電話端末へ通話発信し音声で会話することができます。さらに株式会社プレミア・エイド(以下 PAD)が提供する緊急通報サービス「PamNas」は、VoIP でオペレータと通話することができます。その為、PamNas と連携することで、STZ-DR10 は事故発生時にオペレータへ緊急通報することが可能です。

緊急通報サービス連携

STZ-DR10 のイベント通知機能や前述の VoIP 発信機能を活用し、STZ-DR10 と各種クラウドサービス(Pdrive、PamNas)を組み合わせることで、緊急通報サービス連携システムを構築することができます。このシステムによって、事故発生時や SOS コール時、ドライバーがオペレータへ事故発生を即時通報でき、さらにオペレータが事故現場の状況を確認しながらの対応が可能となります。

この緊急通報サービス連携における STZ-DR10 や各種クラウドサービスの役割を下記に説明いたします。

通信型ドライブレコーダー「STZ-DR10」

STZ-DR10 は通信型ドライブレコーダーで、端末は車両内に取り付けられます。車両前方やドライバーの常時録画、衝撃発生や危険運転等のイベント検知及びイベント録画などを行います。クラウドサービス「Pdrive」と連携しているため、端末で発生したイベントは Pdrive  へ随時アップロードされます。

また STZ-DR10 の VoIP 発信機能では、発信先は緊急通報サービス「PamNas」に設定されており、通話発信時はコールセンターのオペレータへ接続されます。事故発生時はこのオペレータへの通話発信が自動で実行されます。

交通事故削減ソリューション「Pdrive」

Pdrive はドライブレコーダーから収集したイベントデータや位置・走行情報を蓄積・分析し、交通事故削減ソリューションを提供するクラウドサービスです。

STZ-DR10 から発生したイベントがアップロードされ、管理者はイベント発生時の位置情報や録画映像を参照することができます。また Pdrive は緊急通報サービス「PamNas」と連携しており、アップロードされたイベントは PamNas へ通知される為、PamNas 側のオペレータもイベント情報を参照することができます。

PAD System「PamNas」

PADが提供する、運転中に事故や急病による体調不良が発生した時、車両や建物、モバイルデバイスから発信された位置情報、デバイス情報、事故映像などのデータに基づき、利用者の状況を即座に察知し、最寄りの公的機関へ迅速に連携するサービスです。

STZ-DR10 から通話発信を受け付け、対応可能なオペレータへ接続します。また、Pdrive から転送される STZ-DR10 のイベント通知を受け付け、オペレータはイベント発生時の位置情報や録画映像を参照することができます。これにより事故発生時は、オペレータは衝撃発生時の映像から現場の状況を把握しながらドライバーと音声通話することができ、正確な事故対応が可能になります。

緊急通報のユースケース

緊急通報を実行するユースケースは、現状下記の3つです。

事故発生

事故発生により STZ-DR10 が衝撃を検知した時、自動で緊急通報を実行するケースです

緊急通報を開始した時、同時に並行して衝撃検知の動画イベントが Pdrive へアップロードされ、さらに PamNas へ通知されます。その為、オペレータは事故時の映像を見ながらドライバーと会話して状況確認することができます。

SOSコールボタン押下

事故発生時に STZ-DR10 が衝撃検知しなかった、または事故以外の緊急事態が発生した等の理由で、ドライバーが SOS コールボタンを押下し緊急通報を実行するケースです。

緊急通報を開始した時、同時に並行して SOS コールの動画イベントが Pdrive へアップロードされ、さらに PamNas へ通知されます。その為、オペレータはボタン押下時の周辺映像を見ながらドライバーと会話して状況確認することができます。

オペレータからの遠隔発信要求

ドライバーの状況を監視しているオペレータが、通報されていない状況でも事故等の緊急事態が発生した恐れがあると判断した時、オペレータから端末へ発信を要求して緊急通報を実行させるケースです。

オペレータからの発信要求を受けた STZ-DR10 は、オペレータへ通話発信する旨をドライバーへガイダンスし、緊急通報を実行します。

おわりに

今回は、STZ-DR10 による緊急通報サービス連携をご紹介させて頂きました。緊急通報サービス連携により、交通事故の予防、事故発生時の迅速な情報の連携を可能とし、利用者がより安全に運転できる環境を提供できるのではないでしょうか。

しかしながら緊急通報サービスは、緊急通報の失敗有無などの信頼性、通話やイベントアップロードの遅延有無などの効率性、これらの品質が特に求められるかと思います。信頼頂けるサービスを提供できるよう、機能改善など FW の品質向上に引き続き取り組んで参りますので、今後とも STZ-DR10 を宜しくお願い致します。