デバイスソフトウエア開発部の板谷です。
私の所属するチームでは生産性向上AIカメラ「PROLICA®」を担当しています。
先日、PROLICAに搭載されているJetsonのソフトウェア環境のアップデートを行うことで、物体検知アルゴリズムをYOLOXベースへと刷新することが可能になりました。
このアップデートにより物体検知の精度と安定性が向上しましたので、検証動画を交えてご紹介します。
生産性向上AIカメラ「PROLICA®」
PROLICは、ディープラーニングを用いた画像解析により、目視による状況認識や異常検知等を代行するシステムです。
詳細は製品ページをご覧ください。
PROLICAには様々な標準機能があります。
信号機の状態を判定したり、物体を検知・トラッキングしたりなど…。
標準機能を組み合わせることにより、要件に合わせたカスタマイズを行うことも可能です。
本ブログでもPROLICAについていくつか紹介記事を発信してきました。
アップデート前はYOLOv3をベースとした物体検出を行っていました。
使用しているハードウェアのSDKや実行基盤(JetPack)の制約から採用できるアルゴリズムに制限がありましたが、今回行ったソフトウェア環境のアップデートにより、アルゴリズムの選択肢が大きく広がりました。
数あるモデルの中から、エッジデバイスにおける推論速度と精度のバランスを検討した結果、最も安定して高いパフォーマンスを発揮できるYOLOXを選定しました。
物体検知の比較
会社のビル前の道路を監視し車両を検知してみましょう。
撮影した11月中旬の札幌では雪が降り始めており、雪が融けて路面が濡れています。
こういった環境下では、以下の要因により物体検知の精度が低下しやすくなります。
- 低コントラスト: 濡れたアスファルトの色が濃くなり、車体との境界が不明瞭になる。
- 路面の鏡面反射: 濡れた路面に反射した街灯や車両の光がノイズとなり、誤検知や検知漏れを誘発する。
アップデート前(YOLOv3)
こちらがアップデート前の動画です。物体検知アルゴリズムはYOLOv3を使用しています。
アップデート前は低コントラストな環境における検知の不安定さが課題でした。
- バウンディングボックスが一瞬消えたり現れたりするフリッカー(点滅)が発生し、追従が不安定になっている。
- 路面反射の影響により、車体の下部境界を正しく特定できず、矩形が実物体を正確に囲めていない。
- 画面奥に位置するコントラストの低い小さな車両が、検知から漏れてしまう傾向にある。
これまでは、こうした挙動をカバーするために、現場ごとにカメラの設定・ズーム率を調整したり、解析後のロジックで補正を行ったりして工夫していました。
アップデート後
続いて、アップデート後のYOLOXによる検知結果です。まったく同じ画角・カメラ設定で撮影しています。
アップデート前と比較すると、検知アルゴリズムの刷新による恩恵が顕著に現れています。
- 動的ラベル割り当てSimOTAにより背景と物体の境界判断が最適化され、検知の途切れ(フリッカー)が大幅に改善された。
- 分類と位置特定を個別に処理する分離ヘッドの採用で、路面反射などのノイズ下でも実物体の輪郭をより正確に捉えられるようになった。
- アンカーレス化※1により、形状の異なる車両や画面奥の小さい車両に対しても一貫した検知性能を発揮できるようになった。
※1:アンカーレス
あらかじめ固定された枠(アンカー)を使わずに物体の位置を特定する手法。
終わりに
今回のアップデートにより、PROLICAの標準機能の核を担う物体検知の性能が向上しました。
動画で比較した通り、路面の反射や遠方の物体といった悪条件下での検知能力が向上したことで、これまで検知が難しかった環境下においてもより実用的な精度での運用が期待できます。
今後もPROLICAは、現場の様々な課題を解決するために進化を続けてまいります。
引き続きPROLICAをよろしくお願いいたします。
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