
2025年12月5日に北海道庁旧本庁舎(赤れんが庁舎)で開催された北海道AIxIoTビジネス共創ラボ 「革新の力で、ビジネスを次のステージへ」の現地レポートです。
本イベントは2025年11月に開催されたばかりの「Microsoft Ignite 2025」で発表された様々な情報や、世界最大の製造業イベント「ハノーバーメッセ2025」の最新動向レポート、そしてエコモット・SCSK北海道のセッションなど、盛りだくさんの内容でした。

参加者の皆さまからも大変高い評価をいただき、とても好評のうちに幕を閉じました。
セッション#1「実践するAI活用~課題をどう解決したか」 エコモット株式会社

本セッションでは、エコモット AX研究室の取り組みを起点に、企業がAXに取り組む意味や変革の進め方が、具体例を交えながら紹介されました。
DXからAXへと至る道のりを“芋虫が蝶へ成長していく過程”に例えた説明は非常に印象的で、ビジネスモデルが大きく転換する「蝶」の段階にたどり着くためには、経営主導のトップダウンが欠かせないというお話が強く心に残りました。普段、生成AIを業務効率化の手段として使うことが多い私にとって、変革をより大きな視点で捉える大切さを改めて実感した時間でした。
さらに、「AX」が単なるDXの延長ではなく、未来の競争力をつくるためのより上位の概念であるという説明も大きな気づきになりました。準天頂衛星みちびきを使った波高推定AIの事例は、AI技術が社会インフラにどう役立つのかを具体的に想像しやすく、とても学びの多い内容でした。
総じて、AXの本質と実践例を通じて、企業がどのように変革を進めていくべきかを多角的に理解できるセッションでした。
セッション#2「道内中堅・中小企業のDX推進の現実と処方箋」SCSK北海道株式会社様

こちらのセッションでは、中堅・中小企業がDXを進める際に直面する現実的な課題に対して、生成AIを活用した新しいアプローチが紹介されました。
要件定義フェーズで生成AIにその場でコードを書かせながら仕様を固めていくという方法は、従来の「最初に要件をガチガチに固める」イメージを大きく変えるもので、プロトタイピングが今後より一般化していく未来を感じさせました。まだ本格的な運用には至っていないとのことでしたが、DX初期で起こりやすい認識のズレを抑えられる点で、とても効果的だと感じました。
また、“リアルタイムでモックアップを書き換えて顧客のイメージをその場で形にする”仕組みは、まさにそのアプローチを体現していると感じました。顧客と開発側の認識を即座に合わせることで、提案の説得力も高まり、満足度にもつながる印象を受けました。こうしたアプローチは、自社のソリューション開発にも応用できる余地が十分にありそうです。
セッション#3「製造業最新動向!ハノーバーメッセ2025」東京エレクトロン デバイス株式会社様
ハノーバーメッセ2025の概要についてはこちら

ハノーバーメッセ2025における製造業の最新動向が紹介され、IoTと生成AIの連携がすでに実運用レベルに達していることを知ることができる内容でした。
紹介された事例の数々から、この展示会が世界の技術潮流を知るうえで欠かせない場であることが伝わってきました。
特に、エッジ側に生成AIを搭載し、クラウド依存の処理を分散して高速化する取り組みは、既存プロダクトにもまだ大きな進化の可能性があると気づかせてくれました。
また、識別AIと生成AIを組み合わせた車両検知の事例は、日本ではまだあまり見られない先行的な取り組みで、海外との技術フェーズの違いを実感しました。海外の動きを知ることで、自社の技術戦略を見つめ直すヒントも多く得られたのではと思います。
セッション#4「Microsoft Ignite 2025 最新情報」日本マイクロソフト株式会社
Microsoft Ignite 2025の概要についてはこちら

このセッションでは、世界最先端のAI活用がどこまで進んでいるのかを、実際のデモを通して体感することができました。
わずか2時間という短時間で作られた多言語翻訳アプリやMCPサーバーのデモはとても高い完成度で、AIの進化はもちろん、世界のトップIT企業で働くエンジニアのレベルの高さにも驚かされました。特にAIエージェントの紹介は印象的で、アプリ開発の進め方そのものが大きく変わる未来を感じました。
プログラマーが担っていた実装部分をAIエージェントが担当し、人は要件定義や設計といった上流工程に集中する流れは、単なる効率化ではなく“開発プロセスの再定義”と言え、汎用アプリであれば、人間が手を動かさずとも構築できる時代が近づいていることも実感し、エンジニアとして危機感とともにワクワク感も覚える内容でした。
技術の進化を“目の前で確認できる場”として、アプリ開発の常識が大きく書き換わる転換点にいることを強く意識させられるセッションでした。
終わりに

今回のイベントを通して、AIを中心にビジネス環境が大きく変わり始めていることを強く感じました。
AXが示す経営レベルの変革、生成AIによる開発プロセスの刷新、製造業でのエッジAI活用の広がり、そしてAIエージェントが描き出す新しいアプリ開発の姿──どのセッションからも、これからの競争力の源となるヒントが得られました。
AIは、もはや効率化のための道具にとどまらず、事業・組織・プロダクトのあり方まで変えていく“変革の起点”です。こうした技術の流れをしっかり掴み、試行を重ねながら自社の戦略に結びつけていく姿勢が、これからますます重要になっていくと感じました。
今回、ご参加いただいた皆さま、そしてご登壇いただいた皆さまに心より感謝申し上げます。
さて、当社では、AIやIoTの力を最大限に活かし、お客様のビジネスの変革をご支援しています。
「業務にAIを取り入れたい」
「自社サービスにAIを組み込みたい」
「AIの導入について相談したい」
など、どんなことでもお気軽にお問い合わせください。





