札幌からジャカルタへ!「Sapporo IT Delegation in Indonesia 2025」参加レポート


こんにちは! デバイスソフトウエア開発部の米森です。

2025年11月、さっぽろ産業振興財団さん主催の「Sapporo IT Delegation in Indonesia 2025」に参加し、インドネシアのジャカルタを訪問いたしました。本プログラムの目的は、札幌IT企業の海外販路拡大や海外人材マッチング、国境を越えたビジネス連携の促進です。実際にインドネシアの大学やIT企業に訪問し、現地の熱量を感じることができたので、とても学びが多く、実りある訪問でした。

本記事では、現地で得られた知見や情報、また個人的な感想などを共有させていただきます。

インドネシアとはどんな国?

皆さんはインドネシアに対してどのようなイメージをお持ちでしょうか。「リゾート地のバリ島」を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、ビジネスの観点で見ると、インドネシアは現在、世界で最もエネルギッシュな国の一つと言えます。

世界第4位の人口を抱える巨大市場

インドネシアの人口は約2.7億人と、ASEAN諸国で第1位、世界でも第4位という巨大な規模を誇ります。特筆すべきはその人口構成です。29歳までの人口比率が、全体の45%ほどなので、人口のおよそ半分が0~29歳に該当します。なので、少子高齢化が進む日本とは対照的に、分厚い若年層に支えられた「人口ボーナス」の真っ只中にあります。街を歩けば、どこに行っても若者たちの姿があり、新しいサービスや技術がまたたく間に浸透していく、圧倒的な消費のエネルギーを感じることができます。

世界屈指の日本語学習者数

日本への関心の高さも、ビジネスを考える上で大きなアドバンテージです。国際交流基金の調査によると、インドネシアの日本語学習者数は約70万人で、中国に次ぐ世界第2位という多さを誇ります。街中には日本のコンテンツ、アニメ、食品が溢れており、非常に親日的な国です。この心理的な距離の近さは、事業連携や技術交流を進める上で、大きなきっかけになりえます。

2024年度 海外日本語教育機関調査
結果概要 (https://www.jpf.go.jp/j/project/japanese/survey/result/information/dl/result_overview.pdf)

多様な価値観が共生する文化

インドネシアを象徴するキーワードは、その圧倒的な「多様性」にあります。 まず宗教面では、国民の大多数がイスラム教徒であり、一日に5回の礼拝やラマダン(断食月)など、宗教が日々の生活やビジネスの根幹に深く組み込まれています。しかし、単一的な社会ではなく、キリスト教、ヒンドゥー教、仏教なども国内に存在しており、宗教的な多様性があると言えます。

さらに驚くべきは、その民族的・言語的な広がりです。インドネシアは1万7,000以上もの島々からなる群島国家であり、国内には300を超える民族が共存しています。それぞれの民族が独自の文化や伝統を持っており、使われている地方言語の数は700以上にものぼると言われています。これほどまでに多様な背景を持つ人々を一つに繋いでいるのが、公用語である「インドネシア語」です。現地の方々は日常生活では自身のルーツである地方語を大切にしながら、教育やビジネスの場ではインドネシア語を使いこなすという、マルチリンガルな環境で育っています。

時差は2時間だけで「近い」

札幌から首都ジャカルタまでは羽田経由で11時間ほどの距離です。インドネシアは日本の南方向に位置しているので、時差は2時間だけです。ビジネスで連携するとなると、営業時間のずれは極力小さくしたいので、時差が2時間だけというのは魅力的です。

インドネシアの位置

画像: Wikipedia(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%8D%E3%82%B7%E3%82%A2)

現地での学びと気づき

現地学生との交流から見えた可能性

滞在期間中、現地の名門国公立大学や、IT教育に定評のある私立大学を訪問し、多くの学生たちと直接対話する機会に恵まれました。

まず感じたことは、学生の方々の活気です。マッチング交流会には、2大学合計で70名ほどの学生が来場しており、会場は終始熱気に包まれていました。その多くから「日本が好きだから、日本のIT企業で働きたい」という非常に前向きな言葉を聞くことができ、とても嬉しかったです。中には日本語で日常的なやりとりができる学生も多く、言語能力と学習意欲の高さに驚かされるばかりでした。

 

訪問した大学のキャンパス。授業中なので閑散としているが、休み時間になると多くの学生で賑わう。

一方で、現地学生の方々にとって、「北海道・札幌」という単位では、美味しい食べ物や雪のイメージはあるものの、移住先、就労先としての認識は薄いという側面も見受けられました。今回の交流を通じ、地域としての魅力だけでなく、IT企業の独自性や魅力や訴求していく重要性を痛感しました。

急速に進化するデジタル社会とIT市場の現状

ジャカルタの街を歩くと、日本でお馴染みのコンビニエンスストアが至る所にあり、おでんなどの日本食が現地の方々の生活に深く馴染んでいる様子が伺えます。こうした文化的な親和性の一方で、社会のデジタル基盤は驚くべきスピードで進化しています。

人口約2.7億人を超える数のSIMカードが出回っているというモバイルファーストの潮流や、後払い(Pay later)サービスの普及など、日本以上にダイナミックな勢いを感じました。特に、配車アプリを起点としたスーパーアプリの浸透度合いは目を見張るものがあり、スマートフォンが生活のあらゆる場面に浸透しており、移動、食事のデリバリー、支払いなど、あらゆる活動がスマートフォン一台で完結する仕組みが整っており、日本以上に「デジタルが前提の社会」であると感じさせられました。

その人口の多さに比例して、IT人材も豊富であり、大学教育ではIT関連の専攻が人気であるとのことでした。しかし、だからといって容易に事業連携や人材獲得ができるわけではなさそうです。実際に現地企業や現地人材とやり取りをしてみると、「ITスキル」と「業務レベルの日本語能力」の両方を兼ね備えた人材は希少であるという現実も見えてきました。実際、名門の国公立大学であっても、卒業時にビジネスレベルの日本語(JLPT N2以上)を習得している学生は少数であるそうです。

より多くの優秀な人材と協働するためには、「日本語 and IT」ではなく「日本語 or IT」という観点を持つことが大事であると思いました。また、訪問した大学では、英語が当たり前のように使用されており、グローバル人材としての育成が進んでいることも印象的でした。なので、当たり前なのですが、日本側も英語でのコミュニケーション体制を整えていくことも必要であると感じました。

経済成長の影にある課題と可能性

現地で最も驚かされたのは、完全に予測不可能な深刻な交通渋滞です。ジャカルタ市内では、わずか数キロの移動に1時間以上を要することも珍しくありません。この渋滞は単なる不便に留まらず、物流の遅延や労働時間の損失など、経済活動における甚大なボトルネックとなっています。

 

ジャカルタの渋滞の様子

こうした状況を背景に、インドネシア政府は現在、首都をジャカルタからカリマンタン島の「ヌサンタラ」へ移転するという壮大な国家プロジェクトを推進しています。この新首都計画は、単なる行政機能の移転に留まらず、ゼロから構築される「スマートシティ」としての側面を持っています。ジャカルタのような既存都市の渋滞解消と、ヌサンタラのような新都市のインフラ構築はいずれも、ITで解決できる潜在的な可能性を秘めています。位置情報を使用した渋滞の見える化、インフラ工事の作業員安全管理など、弊社の技術を活用すれば提供できそうなソリューションも多くありそうです。

おわりに

今回のプログラムを通じて、インドネシアという国の持つ計り知れないポテンシャルと、そこで学ぶ学生の方々や、企業で働く方々の熱量を肌で感じることができました。現地で温かく迎えてくださった皆様、ならびに本プログラムを支えてくださった関係者の皆様に、この場を借りて深く感謝申し上げます。

 

最後に、エコモットでは一緒にモノづくりをしていく仲間を随時募集しています。弊社に少しでも興味がある方はぜひ下記の採用ページをご覧ください!

 

参考