電波暗箱で弱電界試験が出来る様に

アドベントカレンダー14日目
製品開発部 高木です。
今年度、製品開発部は弱電界環境である電波暗箱をゲットしました!
というのも、弊社製品はLTE通信をする製品になりますが、通信できない状況に置かれた時にどのような挙動をするのか確認をしないといけません。

ですが…今までは、通信状況の悪い地域(山や森等)に持って行ったり、アルミホイルで製品をぐるぐる巻きにしてみたり、お手製のシールドボックス(笑)(これでも10dBm下げます)を使用したりと確かな環境がありませんでした。

お手製シールドボックス(笑)

とうとうある製品にて、GPSは取得した状態で通信だけできない状況が必要になり、その環境を構築するため電波暗箱の購入となりました。

電波暗箱の選定

まずはどういったものを購入するのが良いのかを決めます。メーカーは複数社ありますが、標準仕様があるものをカスタマイズして使用するのが時間もかからずいいだろうということで、マイクロニクス社の電波暗箱を選定しました。

LTEの周波数帯は800MHz帯もあるので600MHz以上に対応した機種にしたかったのですが、価格に折り合いがつかず諦めることになり、1GHz以上に対応した機種に目星を付けました。

GPS再放射アンテナ

まずはサンプルを借用して使い物になるのかを検証です。

早速サンプルを取り寄せてLTE通信の遮断ができるか確認してみました。
結果は、見事通信を遮断し弱電界時の通信不良状態を作ることが出来ました。

これは使えるということで、I/F等使用するもののオプションを決めて、注文確定です。一緒にGPSを取得する状況を作らなくてはいけないためGPSの再放射アンテナも購入しました。

かくして、製品開発部は弱電界試験用環境の電波暗箱を入手することが出来たのでした。

問題発生

とはいかず、購入後に問題が発生しました!

使用しているうちに、どうも800MHz帯は電波暗箱内に製品を設置しても通信してしまうようだと…電波吸収体(スポンジに特殊な塗料が塗ってある物体。これが電波を吸収してくれます。)の厚みが一番薄い(3㎝)のではだめなようでした…

電波吸収体薄い(3㎝)状態

I/Fを色々つけたことにより、若干サンプルの状態よりも電波遮断量が弱くなっていたようです…

やはり、600MHz以上に対応した製品にすべきだったのかとも思いながら、すぐにメーカーに電波吸収体の厚みアップの発注をかけ、アップデート作業(電波吸収体厚み6㎝にUP)に入ってもらいました。6㎝でもダメな場合は12㎝にする、もしくは、電波吸収体のみ買い増しする必要がある状況でした。

帰ってきた電波暗箱は見事にスポ…電波吸収体の厚みがUPしておりました。

写真を見ると黒い部分が見える様になっているかと思います。
ここが電波吸収体の厚くなった部分ですね。電波暗箱内のものを置けるスペースと引き換えに電波吸収性能UPとなりました。

これでも効果がなかったらどうしようと戦々恐々としながら、携帯電話や製品を入れて通信状況の確認を行いました。

見事に通信を遮断することに成功!こうして、製品開発部は社内に弱電界試験環境を構築することが出来ました。

終わりに

ちなみに、電波暗箱の背面にはI/Fモジュールがあり、ここから電源コードだけでなく、USBやLANも繋げられ、ログを取りながらの動作確認もできるため使い勝手がとても良いです。

また、スペクトラムアナライズと一緒に使うことで製品がどの周波数にどれくらいの強度の電波を出しているかの確認もできます。

電波暗箱を閉じた状態

電波暗箱を開けた状態

電波暗箱を閉じ、内部で何か動作させた状態

これから大活躍する機器になって欲しいものです。