電子納品を支える改ざん検知と小黒板情報連携の検定


デバイスソフトウエア部の伊與です。 今回は9月にエコモットへ入社後、主に携わっているBAIASについてご紹介します。 BAIASは信憑性確認(改ざん検知機能)検定に合格した写真管理ソフトウェア(カテゴリ Ver.1.1)に取り込む事により、デジタル工事写真の電子納品に対応しています。 この記事では、
  • 工事用黒板とは
  • 小黒板情報電子化
  • なぜデジタル工事写真の電子納品をするのか
  • デジタル工事写真の信憑性(改ざん検知機能)検定
  • 黒板情報連携機能検定
  • J-COMSIA 施工管理ソフトウェアデータベース
について、ご紹介していきます。

そもそも「工事用黒板」とは?

工事用黒板のイメージ画像
※AIで作成したイメージ画像です。
工事用黒板は、工事に関わる情報を記載します。 いつ、どこで、誰が、どのような工事をしたか」を証明するため、工事用黒板とともに工事現場を撮影し、役所などに提出します。 工事用黒板は、写真だけでは足りない情報を補うために、主に以下の情報が記載されます。
  • 工事名、工事場所、日時
  • 施工業者名、工種、工事概要
  • 設計数値、実測値、備考
工事用黒板を入れて写真撮影すると、以下が確認できるようになります。
  • 「設計数値と実測値」が「設計図書や仕様書」と相違がないか
  • 作業の進捗状況

なぜ小黒板情報電子化するのか

BAIASの電子小黒板のイメージ画像
※BAIASの電子小黒板です。小黒板の色を薄くして背景を見えるようにすることも可能です。
小黒板情報電子化は、以下のことを目的とした技術です。
  • 受発注者双方の業務効率化
  • 現場撮影の省力化
  • 写真整理・写真帳管理の効率化
小黒板情報電子化は、国土交通省も利用を認めており、現在ではほぼすべての公共機関で利用可能です。 工事写真のデジタル化は、写真管理業務全体の効率化を促し、建設業界が抱える人手不足などの課題の改善にもつながります。 小黒板情報電子化で改善することは以下です。
従来の工事用小黒板 小黒板情報電子化により改善
工事ごとに小黒板を準備する 電子的記入で行える
チョークを使用し黒板に手書きで記入する 入力された情報でデジタルで作成される
写真撮影に複数人必要、撮影タイミングの調整が必要 1人で写真撮影することが可能、複数人の調整が不要
小黒板が反射で見えにくくならないよう配慮が必要 デジタルなので、環境によって小黒板が見えにくくなることがない
撮影したデータを保管する必要がある クラウドに写真が保存されるため、写真の保管場所が不要。情報共有も迅速化できる
このように、小黒板情報電子化を導入することには、多数のメリットがあります。

BAIASの小黒板

BAIASでは20種類以上の小黒板のテンプレートを用意しています。
1から自分で作成することも可能です。
BAIASの電子小黒板の一覧画像
BAIAS テンプレート選択画面
また、EX-TREND武蔵で登録した設計値をXMLファイルとして出力し、それをBAIASにアップロードすることで、計測に必要な設計値が自動で反映されます。

J-COMSIAの各種検定

信憑性確認(改ざん検知機能)検定、小黒板情報連携機能検定をご紹介する前に、この各種検定を提供しているJ-COMSIAについてご紹介します。

J-COMSIAとは

J-COMSIAとは、建設分野の施工管理に関わる業務の高度化、効率化に対して活動している協会です。 特に小黒板情報電子化においては、技術の安全かつ信頼性を担保するために、以下のような取り組みを行っています。
  • 信憑性確認(改ざん検知機能)検定
  • 小黒板情報連携機能検定
  • 信憑性チェックツール(改ざん検知機能)の提供
信憑性確認(改ざん検知機能)検定と小黒板情報連携機能検定に合格すると、国土交通省が定める要件を満たしていることが証明されます。 ちなみに、信憑性チェックツール(改ざん検知機能)は、受注者が工事写真を電子納品する際に用いるツールです。写真が撮影後に不正に編集されていないかを確認し、その結果を監督職員へ提出する義務があるため、その際に使用されます。

信憑性確認(改ざん検知機能)検定

小黒板情報電子化に使用するソフトウェアは、以下の2つの条件を満たすことが求められています。
  • 電子的記入ができること
  • 信憑性確認(改ざん検知機能)を有すること
信憑性確認(改ざん検知機能)検定では、写真撮影アプリケーションや写真管理ソフトウェアなどが、正しい技術を用いて、正しく信憑性確認(改ざん検知)機能が実装されているかを検定します。 この検定に合格すると、国土交通省が定める「信憑性確認(改ざん検知機能)を有する製品」であることが証明されるため、デジタル工事写真の電子納品が可能となります。

改ざんの検知方法:ハッシュ値の利用

写真の改ざん検知の仕組みは様々ありますが、J-COMSIAが提供するExifを用いた検知方法が一般的です。ファイルの画像とExifを「ハッシュ値」と呼ばれる数値に置き換え、暗号化して埋め込みます。暗号化されたハッシュ値は編集ができないため、写真に信憑性を持たせることができます。 ハッシュ値は「電子政府における調達のために参照すべき暗号のリスト(CRYPTREC 暗号リスト)」の電子政府推奨暗号リストに掲載されている技術であるため、高い信頼性があります。
参考:電子政府における調達のために参照すべき暗号のリスト(CRYPTREC 暗号リスト) 以下の記事でBAIASやハッシュ値について説明しているので、ぜひご覧ください。
配筋検査ARシステムBAIAS®のよくある質問

小黒板情報連携機能検定

小黒板情報連携機能検定では、異なる製品やサービスの写真撮影アプリケーション写真管理ソフトウェアとの間で、小黒板のデータが共通仕様に基づき正しく連携できるかを検定します。 小黒板情報連携機能検定に合格すると、複数のソフトウェア間でのスムーズなデータ連携を可能にし、ユーザーの利便性が高いことが証明されます。 BAIASと写真管理ソフトウェアの詳しい内容については、こちらの記事を参考にしてください。
よくある質問:BAIASの画像ファイルを電子納品する方法を教えてください

J-COMSIA 施工管理ソフトウェアデータベース

J-COMSIA 施工管理ソフトウェア一覧
引用:J-COMSIA 施工管理ソフトウェア一覧
これらの検定合格・認定ソフトウェアの一覧は、J-COMSIAのHPの「J-COMSIA 施工管理ソフトウェアデータベース」で確認できます。 業界や機能カテゴリごとに集約されているため、J-COMSIAの認定ソフトウェアを効率よく検索できます。 BAIASは各検定で「Ver.1.2.202508201442」で合格しているため、信憑性確認(改ざん検知機能)検定のカテゴリ Ver.1.1に合格した写真管理ソフトウェアに取り込む事により、電子納品が可能です。 BAIASの各検定適合証は下記のURLからダウンロードできます。
J-COMSIA 検定適合証 配筋検査ARシステム「BAIAS®」
施工管理ソフトウェア一覧のBAIASのページ
引用:J-COMSIA 施工管理ソフトウェア一覧よりBAIASのページ

まとめ

J-COMSIAの信憑性確認(改ざん検知機能)検定と小黒板情報連携機能検定に合格することは、信憑性確認(改ざん検知機能)を有する製品であり、小黒板のデータが共通仕様に基づき正しく連携されることの証明になります。 BAIASはこのどちらの検定にも合格しており、信憑性と効率を両立したサービスです。 BAIASをもっとよく知りたい方は公式サイトや、ecomott blogの他の記事をご覧ください。 BAIASの電子小黒板の操作方法について知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
BAIAS 電子小黒板の利用ガイド エコモットでは一緒にモノづくりをしていく仲間を随時募集しています。 弊社に少しでも興味がある方はぜひ下記の採用ページをご覧ください。