AI活用

生成AIを“宝の持ち腐れ”にしないために──公的支援の拡充と現場のギャップ

 
2025年7月、経済産業省とNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は、生成AIの開発力強化を目的としたプロジェクト「GENIAC(Generative AI Accelerator Challenge)」において、基盤モデル開発のための計算資源提供支援を行うテーマを24件採択したと発表しました。  
 
このように国家レベルで生成AI技術の支援・投資を推し進めており、AI開発の裾野は急速に広がっています。
しかし一方で、中小企業の現場からは依然として「AIで何ができるのかがわからない」「導入しても成果につながらない」「どう使えばいいかわからない」といった声が多く聞かれます。
国全体でAI推進の機運が高まっている中、現場では活用が進まないのは何故なのでしょうか。
 
今回は公的支援と現場のギャップを踏まえながら、中小企業が生成AIを有効活用するためのポイントを整理します。

測定結果や実験結果を処理するための物理情報ニューラルネットワーク(PINN)

こんにちはデータアナリティクス部のロベルト・フバチです。少し前に、「物理情報ニューラルネットワーク(PINN)」物理情報ニューラルネットワーク)について書きました。このネットワークは、自然界や工業で起きる現象を記述する偏微分方程式を解くために使われます。しかし、このネットワークの欠点は、一度学習させると、その特定の条件に対してのみ解を提供し、新しい条件下での予測には使えないという点です。PINNの学習には、よく数値計算のコンピュータシミュレーション結果 が使われます。これはPINNの可能性を示すためには有用ですが、実用的な観点から見ると、それほどでもありません。既に数値解が得られているので、新しい計算を行う必要がないからです。新しい条件下での予測にも使えるより実用的な方法として、実験や測定結果と組み合わせたPINNが提案されています。そこで、今回はこの活用例を2つ紹介したいと思います。
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