Starlinkによって広がるIoTの可能性

こんにちは。
デバイスソフトウエア開発部の島崎です。

今回は以前投稿した衛星通信システムStarlinkについてのブログの続報になります。

Starlinkを使って不感地帯でもIoTを可能に

Starlinkは米スペースX社が運営している衛星インターネットサービスであり
弊社も「STARLINK BUSINESS」を提供しているKDDIさんと連携して
IoTソリューションを提供しています。

このSTARLINK BUSINESSをより使いやすく、現場のニーズに答えられるようになった点についてご紹介します。

グローバルIPで可能になること

KDDIさんのSTARLINK BUSINESSサービスにはStarlink端末に対してグローバルIPを付与するオプションがあります。
離れた場所からインターネット経由で機器に対してグローバルIPを指定することで直接アクスすることが可能となります。

ですが、StarlinkのグローバルIPは固定ではないため一定のタイミング(機器の再起動など)で別のIPに変わってしまいます。
そのため、弊社では、Starlink本体と組み合わせて利用するIoT制御盤内に
Starlinkから提供される可変のグローバルIPに対して、いつでもアクセス可能となる
DDNSを組み込んでいます。

弊社が提供するIoTソリューションは、Starlink経由でもカメラやロガーなどの機器に対して
DDNSで設定したドメインでアクセスし、遠隔での動作確認や設定変更等の対応を
離れた場所でも素早く実施することが可能となります。
万が一障害が発生した際もログ取得などが遠隔で実施できるようになるためエンジニア視点でも非常に有用な仕組みとなっています。

通信速度が速いからできること

Starlinkは理想値で下り220Mbps、上り25Mbpsという速度でインターネット接続を提供しており、
これまでの衛星通信サービスとは一線を画した速度となっています。
そのため、Gリポートのような遠隔臨場システムも使用可能です。

画像はStarlinkでインターネット接続をしたGリポートです。
高速通信のため画質も音声も非常にクリアに双方向通話ができています。

ネットワークが高速なためミルモットHDなどのカメラで撮影内容のリアルタイムストリーミングなども可能となります。
リアルタイムストリーミングもグローバルIPとDDNSの組み合わせで可能となったもののひとつとなります。

また、Gフェイスのようなサイネージも高速にインターネットの動画が再生できるためご活用いただけます。
※衛星通信のため、天候や衛星の状態によっては、速度の低下や動画再生が途切れる場合もあります。

実際のStarlink活用事例

不感地帯でのおんどロイドの活用事例をご紹介します。
携帯電話の電波が圏外の建設現場でおんどロイドを使ってコンクリートの養生管理を行いたいという依頼をStarlinkを用いて解決しています。

構成は以下の図のようになっています。
Starlinkアンテナやルーターボックスは現場事務所付近にあり、おんどロイドの親機子機はそこから500m離れた地点に設置しています。
その500mは無線LANブリッジ中継で通信を行っています。

このように不感地帯でも圏内と同様のIoTサービスを提供可能となっており、
途中にブリッジを挟むなど柔軟なカスタマイズも可能となっています。

Starlinkは空が180度見える状態で設置することが求められるため、山間部や森林の中では100%の性能を発揮できない場合があります。
そのためこの現場では空が開けた地点に設置し、そこから有線及び無線で距離を延長することで問題なく運用できています。

今後も様々な既存サービスがStarlinkと連携可能に

前回のブログでStarlinkと既存のIoT機器を繋ぐと記載しましたが、
Starlinkと接続した動作検証は引き続き行われています。

現在ではGリポートだけではなく下に記載したような様々な機器及びサービスがStarlinkでのネットワーク接続で動作することを確認しています。
これからも接続可能な機器は増えていくことでしょう。
・クラウドロガーLTE
・おんどロイド
・ぐらロイド
・BAIAS
・ミルモットHD
・Gフェイス

最後に

今年1月に発生した能登半島地震でもStarlinkが避難所などの通信インフラ維持のために活用されています。

以前、2018年9月6日に発生した北海道胆振東部地震でも

緊急災害用監視カメラシステム

により、災害発生後に短期間で弊社のカメラシステムを導入することで、
現地の様子を遠隔で監視し、二次災害に備えることが可能になりました。

導入当初は、通信インフラの無い地域の監視も必要だったため一部のカメラは
衛星通信サービスを活用して、カメラシステムを導入し遠隔監視を実現しました。

通信環境の無い場所に即座に設置し通信可能な環境にできるStarlinkは今後更に活躍の幅を広げていくことでしょう。